【第18回】不機嫌はホルモンのせい

この春中学1年生になる三男は、ほぼ毎日すこぶる機嫌が悪い。

何を聞いても、
「うん。」
「わかった。」
のみの返答で、無表情。

この春大学生になる長男も、
このころは気に入らないことがあると、
扉バ~~~ンッ!!!
階段ドンドンドンッ!!!
だったので慣れたものです。

アメリカでは、
「男の子は13歳でいなくなって15歳で帰ってくる。」
と言われています。

自我が目覚め、周りの様々なことに矛盾を感じ、より完璧さを求め、
自我との統合を図ろうとします。

でも大丈夫、
長男もちゃんと高校生で帰ってきました!笑

自我と周りの世界を切り離して考えるのは、動物の中では人間だけ。
動物にとって見えている世界は、すべて「自分自身」なのです。

人間も生まれた時は自分と他者の区別がありません。
物ごころがついて自分と他者、周りの世界を区別できるようになると、

人と自分を比べたり
力を競ったり
人を好きになって
でも想いが届かなかったり
人からよく思われたい
愛して欲しい

という気持ちが、
コントロールできない他人や環境を
自分の思うままにコントロールしようともがきます。

思春期は「自我」が芽生えたばかり。

この「理解されたい」承認欲求や、
「愛されたい」・「異性と融合したい」
性欲などのホルモンが過剰に分泌されて、
バランスが悪い時期。

この欲望を不器用にぶつけながら、
他者の反応から多くのことを学びます。

そして他の誰のせいでもない、
何のためでもない自分のための人生。

自分で自分を愛することが一番大切

ということを学んでいくのです。

「人は人によってのみ磨かれる」

この時期は、外に出て有り余るエネルギーをぶつけて傷つき、
クタクタになって帰ってきます。
家に帰れば完全に電池切れ。

ついつい不機嫌になってしまう三男にこう言います。

「あなたが機嫌が悪いのはホルモンのせい。
だからと言って家族の和を乱す権利はあなたにはない。
でも覚えておいて。
いつでも家族はあなたの味方だよ。」

厳しく怒る必要もない。
かといって放任するのも違う。

「機嫌が悪いのはホルモンのせい」

あたたかく見守っていれば、また元気に戻ってる。

頑張れ!思春期!

*このコラムは香港ポケットページ2017年3月に掲載されました。